一般コラム
【グルタチオンに想いを馳せて】——旅のはじまり——



こんにちは。WAKUインターン生の下口慶夏(しもぐち よしか)です。
私はこの度、少しだけ新しい旅に出てみることにしました。
といっても、どこか遠くへ行くわけではありません。
机の上で調べて、考えて、記す。
そんな旅です。
行き先は、「グルタチオン」という分子です。
どこにでもあるのに、ほとんど知られていない。
ヒトの体の中にも、植物の中にもあって、
どうやら生き物たちの中で静かに働いているようです。
この小さな分子に出会ったのは、中学2年生のときでした。
縁あってWAKUのCEOである姫野さんと知り合い、
そこからインターンとして活動に参加させていただくことになりました。
まだ何も知らない私に、姫野さん、COOの片野田さん、CTOの三橋さんが、
WAKUの目指していることや、グルタチオンという分子の働きについて丁寧に教えてくださいました。
当時の私は、正直なところ、専門的な話の多くを理解できていなかったと思います。
それでも、話を聞きながら、少しずつ「何かおもしろい世界に足を踏み入れている」感覚がありました。
いつの間にか、グルタチオンという言葉が自分の中に残り、
グルタチオンについてもっと知りたくて仕方がなくなっていました。
生き物の種類が違っても、
同じ分子が働いていることが、なんだか不思議でした。
世界の仕組みの奥で、
同じリズムが響いているような感じがしたのを覚えています。
今夏、本社のラボを見学する機会をいただきました。
扉を開けた瞬間に、大小様々な機器が鎮座する光景が目の前に広がりました。
機械がときどき小さく動く音がして、
研究者の方々が淡々と手を動かしていました。
その場には確かな集中と、自分自身の好奇心を満たすワクワクがありました。
クロマトグラフィという装置を見せていただいたとき、
胸の奥の高まりが最高潮になりました。
何本もの細い管の中を液体が流れていって、
モニターには、いくつもの小さな山が描かれていきます。
それを見ながら、
「目には見えない何かを、確かめているんだ」と思いました。
見えないものを、見ようとする。
その行為そのものが、科学なんだと感じました。
しばらくして、研究ミーティングにも参加させていただきました。
植物の中でのグルタチオンのはたらきについて、
研究者の先生方が真剣に話し合っていました。
専門用語が多くて、最初は全然追いつけませんでした。
それでも、事前に調べていた言葉が出てきた瞬間、
「あ、知ってる」と小さく頷けたことが嬉しかったです。
ミーティングの最後に、思い切って質問をしました。
「植物の中のグルタチオンの量って、どうやって測るんですか?」
先生は、やさしく答えてくださいました。
植物を凍らせて、粉にして、
試薬を加えて、光を出させて、その光の強さを測る。
それでどのくらいの量があるのかがわかるのだそうです。
その話を聞いて、私は思いました。
科学って、ただ知識を積み上げることではなくて、
「確かめる」という一つの行為に、
とても多くの時間と手間をかけることなんだな、と。
私は、その丁寧さに感動しました。
この旅を始めようと思ったのは、
そんな経験の積み重ねがあったからです。
グルタチオンは、調べれば調べるほど謎が増えていきます。
まだ理解できていないことばかりです。
でも、分からないからこそ、近づいていく感覚があります。
それを、文章として残しておきたいと思いました。
この旅は、地図のない旅です。
だいたいの方向は決まっているけれど、
どんな道が待っているのかは、行ってみないとわかりません。
途中で迷ったり、立ち止まったりすると思います。
でも、その迷いや時間の流れも含めて、
自分の言葉で書いていけたらと思っています。

これからの旅路は、
グルタチオンの「発見」「発展」「挑戦」という三つの視点で辿る予定です。
最初の章では、
この分子がどのように見つかり、どう定義されていったのか。
科学者たちの試行錯誤をたどります。
次の章では、
グルタチオンが医療や美容、植物や暮らしの中で
どのように広がっていったのかを見ていきます。
そして最後の章では、
私が実際に参加したWAKUの研究現場を通して、
グルタチオンの今と未来を描きたいと思います。
この旅は、何か答えを出すために書くわけではないと思っています。
今の自分に見えている範囲のことを、
正直に残しておきたいだけです。
小さくても確かに働いている分子のように、
自分の中の好奇心も、自分のなかで静かに、そして確かに動いています。
その動きを感じながら、
どこまでいけるのかを確かめてみたいのです。
この文章を書いている今も、
どこかで研究者の方々が実験をしていると思います。
データを見つめて、何かを考えて、
また新しい問いを見つけている。
その小さな積み重ねが、
少しずつ世界を前に進めているのだと思います。
私はまだ、その世界のほんの入り口に立っているだけです。
けれど、そこに少しだけ関われたことがうれしくて、
この感覚を忘れないうちに書いておこうと思いました。
たぶん、この旅の終わりに答えはありません。
ただ、少しだけ「わかったような気がすること」が増えているだけだと思います。
でも、それでいいと思います。
世界のすべてを理解することよりも、
「自分がどんなことに心を動かされたか」を残すほうが、
今の私には大事に思えます。
そんな気持ちで、この旅を始めます。
グルタチオンという小さな分子と、
それを追いかける人たち、
そして自分自身の中にある好奇心の話。
これが、私の「旅のはじまり」です。
この記事を書いた人
Yoshika Shimoguchi
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